庭の目隠しを設置することで、プライバシーやくつろぎの空間を守ることができます。しかし、目隠しを高くすることによるデメリットを十分に理解することも重要です。
この記事では、庭の目隠しの高さの選び方のコツと、高くすることで生じるデメリットについて紹介します。日当たりの悪化や圧迫感、閉鎖的なイメージ、さらには防犯対策の必要性など、確認しておくべきポイントを解説します。
また、費用を抑えるためのコツについても紹介します。庭の目隠しに悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
- 庭に高い目隠しが必要なんだけど、高さの目安はどれくらい?
- 目隠しを高くすることのデメリットも知っておきたいな。
庭の目隠しは1.5mくらいを目安に計画することが多いよ。
でも、本当に必要な高さや場所は家それぞれで異なることも。後悔しないためにデメリットの確認をしていこう。
ㅤ
この記事で分かること
- 目隠しの高さの目安を場所ごとに紹介
- 目隠しフェンスの高さ制限について
- 目隠しを高くするデメリット3選
- 費用をおさえるコツ
ㅤ
この記事を書いている人
この記事を書いている私は、外構プランナーとして数百件以上のお宅のお庭相談を受けてきました。計画がバッチリ決まっても、いざ現地で高さ確認をすると「もう少し高い方が良いかもしれない。」とプランを練り直すこともあるあるでした。
適切な目隠しがあれば庭がもっと心地の良い空間になります。この記事が、庭の目隠しの高さを決める際の参考になれば嬉しいです。
ㅤ
ㅤ
目隠しの高さの目安はどれくらい?
庭の目隠しの高さは1.5mが目安。ただし、敷地の方が隣地よりも高い場合には、1.5mより低くても目隠し効果が期待できます。
一方で敷地よりも隣地側が高い場合には、1.5mよりも高い目隠しが必要。目隠しの高さは、どこからの視線をクリアしたいのかを見極めることが大切です。
ㅤ
場所別の目隠しの高さの目安
場所別の目隠しの高さの目安を表にまとめました。あくまで目安になるため、「道路の車通りが多い」「お隣のリビングが先になる」など、場所によっては家側と隣地側の両方からの必要な高さを確認しましょう。
ㅤ
玄関前 | 玄関ポーチの高さ+1.5m |
駐車場前 | 駐車場の地面高さ+1.5m |
道路境界 | 道路の高さ+1.5m |
隣地境界 | 隣地の高さ+1.5m |
リビング前 | リビングの高さ+1.5m |
主庭 | 庭の地面高さ+1.5m |
お風呂・トイレ | 約1.8m~2m(窓枠の高さ) |
ㅤ
ㅤ
玄関前
玄関ポーチに立った時の視線が目安。階段2段+ポーチの場合の目隠しに必要な高さの目安は、約2mです。
圧迫感が気になる場合には、シンボルツリーでやわらかい目隠しにするのもおすすめです。また、玄関前は正面からの目隠しだけではなく、斜めからの目隠しにも注意しましょう。
ㅤ
駐車場前
駐車場の地面の高さ+1.5mが目安。
ただし、駐車場前は車の出入りのしやすさを重視しましょう。駐車場のプライベートを守りたい場合にはシャッターゲートやガレージを検討する方法もあります。
ㅤ
道路境界
道路の高さ+1.5mが目安。
道路と敷地が同じ高さでない場合も多いです。基本的に雨水は敷地の外に流れるように設計されるため、道路よりも家の方が高いというケースは多いです。
例えば、道路の方が家よりも50cm低い場合には、高さ1.2mでも十分に目隠し効果が得られます。道路が低い場合に高い目隠しがあると圧迫感が出る原因にもなるので注意しましょう。
ㅤ
隣地境界
隣地の高さ+1.5mが目安。
隣地の方が家よりも低い場合には、1.5mの高さで目隠し効果が期待できます。隣地の方が高い場合には、隣地側の高さを組み込んだシミュレーションをしてみましょう。
ㅤ
リビング前の場合
リビングの高さ+1.5mが目安。
リビングは庭の地面よりも50cmほど高い位置にあるため、2m以上の目隠しが必要になります。高い目隠しはリビングの風通しや日当たりを疎外する可能性もあるため、玄関前と同様にシンボルツリーを組み合わせるのもおすすめの方法です。
リビング前のウッドデッキ上に目隠しフェンスを設置する方法もあります。
ㅤ
主庭
庭の地面高さ+1.5mが目安。
主庭で何をしたいのかが目隠しの高さを決めるポイント。芝生や家庭菜園、花壇を作りたい場合には目隠しで日当たりが悪くならないか確認しながら計画を進めましょう。
主庭と玄関や駐車場が近い場合には、プライベート空間である主庭ゾーンを視覚的に分かりやすくしておくと、より居心地の良い庭になります。
ㅤ
お風呂、トイレ
約1.8m~2m(窓枠の高さ)が目安。
バスルームやトイレの目隠しは、窓枠の上の高さまで必要となるため高い目隠しが必要になります。ただし、家の裏側にある間取りなら、カーテンなど室内からの目隠し対策の方がコスパが良くなります。
外空間に目隠しを設置する場合には、湿気がこもりやすいため天然木は避けるなど素材にも注意しましょう。
ㅤ
ㅤ
目隠しフェンスは何メートルまで設置できる?
一般的なフェンスの高さは【60cm、80cm、1m、1.2m、1.4m、1.6m、1.8m】。バリエーションが豊富にあるのは【1m、1.2m、1.4m、1.6m】のフェンスです。
目隠しフェンスとなると2m以上欲しいというケースもありますよね。背の高い目隠しフェンスも各メーカーから販売されています。
例えば、LIXILのGスクリーンの「目隠しフェンスタイプ」は、最大約2.7m(H29柱仕様)の高さの商品を選べます。目隠しとスリットを組み合わせられるのが魅力で、庭の通気性を考慮したプランが可能です。
ㅤ
法律による高さ制限
目隠しフェンスの法律による高さ制限は、【ブロック+フェンス=2.2m】と決められています。
【ブロック+フェンス】とは、ブロック塀の上にフェンスを組み合わせたタイプの目隠しで、土留めのために境界にブロック塀を設置する場合などに用いられます。
因みに、ブロック塀のみの場合の高さ制限も2.2m。ブロックの厚みなどによっても制限が異なる場合があるため、DIYを検討している場合には十分注意しましょう。
ㅤ
目隠しを高くするデメリット3選
家でゆっくり過ごすためにも目隠しはとても重要なポイントです。しかし、目隠しを重視するあまりにデメリットに気付けないという失敗も考えられます。
庭の目隠しを高くするデメリットにも注目してみましょう。
ㅤ
日当たりが悪くなる
目隠しを設置すると庭の日当たりが悪くなったり、リビングに日差しが入らなかったりと後悔の原因になる可能性があります。特に庭で芝生や家庭菜園を楽しみたい場合には、日当たりは必須です。
また、日当たりと同時に風通しが悪くなることも考えられます。
「我が家は人工芝だから」と風通しが悪い目隠しをしてしまうと、カビやゴキブリ発生の原因になることも。庭の目隠しを設置する際には日当たりにも注意してみてください。
ㅤ
ポイント
- リビング前の日当たりが悪くならないか
- 家庭菜園や芝生をする計画はあるか
- 通気の確保ができているか
ㅤ
圧迫感、閉鎖的なイメージになる
高いフェンスを設置することで、圧迫感が出てしまい閉鎖的なイメージになる可能性があります。敷地の周りをぐるりと目隠しで囲うと、近所からの印象が悪くなってしまうかもしれません。
しっかりと囲いたいけれど圧迫感が気になる場合は、部分的に解放する場所をつくったり、1m程度の低いブロックやフェンスと植栽を組み合わせる方法もあります。
家の中にいる時の居心地を最優先してほしいポイントではありますが、背の高い目隠しを設置する場合には外観も同時にシミュレーションして後悔を防ぎましょう。
ㅤ
ポイント
- 圧迫感や閉鎖的な印象になっていないか
- 目隠しが不要な場所はないか
- 目隠しの素材は適切か
※全て目隠し率の高い素材で囲ってしまう必要はあるかなど
ㅤ
防犯対策が必要になる
ブロック塀やすき間のないフェンスで目隠しをした場合、「外から見た時の死角」が多くなります。一度家の中に侵入すると外から気付きにくくなるため、泥棒に狙われやすいとも言われています。
防犯対策として、防犯カメラや人感センサー付の照明を設置するなど追加の工事が必要になるかもしれません。
人感センサー付きの照明は、猫なども反応してしまい住宅街では近所迷惑に発展してしまう可能性もあります。目隠しの足元はすき間を空けておくなど、死角が多くならないように注意しましょう。
ㅤ
ポイント
- 外から見た時の死角が多くならないか
- カメラ設置など防犯対策の必要があれば同時に検討する
ㅤ
ㅤ
費用を安くおさえるには
目隠しの費用をおさえたいなら、「本当に必要な高さ」にこだわることがポイント。目隠しの高さを高くすると、材料費が高くなるだけでなく、工事の手間賃が多く必要になることもあり、見積金額が高くなっていきます。
そのため、安全面や防犯面を考慮しながら必要な高さを検討することが大切です。また、敷地の広さを考慮し、目隠しが必要な場所や高さを検討し、コストをおさえていきましょう。
ㅤ
目的を明確にして必要な場所にだけ目隠しを設置する
庭の目隠しを計画する際には、まず設置の目的を決める必要があります。
- リビングから外を見た時の視線
- 玄関を開けた時の道路からの視線
- ウッドデッキに座った時の視線
- 特定の窓から外を見た時の視線 など
ㅤ
また、他にも以下のようなケースがあります。
実は、お隣からはほとんど見えていない
→でも、家の窓からお隣の窓が見えると落ち着かない
目的を明確にしていくと不必要な目隠しの場所も分かりやすくなります。不要な目隠しを設置しなければ費用をおさえることができますよ。
ㅤ
敷地の高低差を確認
家の敷地や道路、隣地との高さを把握することで必要な高さの目隠しが明確になりやすいです。
ただし、道路の高さが変わる可能性はかなり低いですが、隣地の建て替えなどでお隣の窓の位置が変わることは十分考えられます。お隣の窓の位置や高さも視野に入れつつも、我が家を主体に目隠しの高さや場所を検討していきましょう。
ㅤ
人通りが少ない場合はむしろオープンにした方が安全
高い目隠しを設置せず、庭を開放的にした方が安全な場合もあります。例えば、人通りが少なければ、庭を覗かれる可能性は低くなります。
人通りの少ない場所に高い目隠しをぐるりと設置するとより泥棒に狙われやすい家になってしまうかもしれません。庭をオープンにすることで工事費用を抑えられるだけでなく、日当たりや風通しが良くなり植物を育てやすくなるメリットもありますよ。
また、「魅せる庭」を意識することでキレイな庭を保つモチベーションにも繋がります。
ㅤ
植栽をうまく使う
植栽は目隠しの代わりとして効果的に活用できます。植栽にはさまざまな種類があり、腰までの目隠しをする目的の木もありますし、3m以上でもやわらない目隠しをすることも可能です。
植栽を利用することで、自然な庭づくりやプライバシーを確保できるだけでなく、コストをおさえることができます。手入れが必要になりますが、庭づくりの楽しみとして暮らしに取り入れられる方はぜひ検討してみましょう。
落葉樹を選べば、夏は日差しを遮り、冬は日差しを取り込めるというメリットもあります。
ㅤ
DIYをするなら少しずつ増やしていくのもおすすめ
DIYの魅力は、少しずつ手を加えながら庭を完成させられること。例えば、木を1本植えるところから始めて、必要に応じて花壇や生け垣などで隙間を埋めていく方法があります。
このような段階的な庭づくりは、長い目で見れば時間と費用の節約になります。また、初期費用で何百万円も使わずに、庭に変化を加えていけるので達成感や満足感も得られるでしょう。
ㅤ
まとめ
目隠しは、庭のプライバシーを守ることができますが、高い目隠しを選ぶことのデメリットも確認することも大切です。目隠しの計画をする際には、目隠しを設置する目的、敷地の高低差、防犯の必要性、植栽の使用などを検討してみましょう。
DIYの場合は、庭の目隠しを少しずつ増やしていくことをおすすめします。適切な高さの目隠しを設置して、庭のある暮らしを快適にしていきましょう。
ㅤ
目隠しについてもっと詳しく
ㅤ
この記事を見た人におすすめの記事
【場所別】目隠しをおしゃれに見せるコツ
-
【場所別】外構の目隠しをおしゃれに見せるコツと注意点を紹介
外構計画の中で大切なポイントとなるのが「目隠し工事」。道路との境界やお隣との境界に設置することも多いので見た目をおしゃれにしたいという方も多いはず。外構の目隠しにはフェンスや木、ブロック塀など色々な方 ...
続きを見る
庭の目隠しアイデア10選
-
外構の目隠しアイデア10選【木やフェンスは目隠しになる?】
住みはじめてみたら道路やお隣からの視線が気になる。 何かいい目隠しの方法はないかな? 外構計画を進めていく中でポイントになる「目隠し」 家づくりの時には気付かないこともあるので、住み始めて数年して ...
続きを見る
まずは、プランを入手してイメージをつかみましょう
-
【¥0~】ガーデンデザイン・外構プラン見積依頼の進め方
ステキなお庭にしたいけれど、、、 どこに相談すれば良いのかな? お庭づくり(外構工事)は、人生で初めて経験する人も多いから分からないことが多いよね。でも大丈夫!お庭のデザイン・外構プラン依頼の進め方を ...
続きを見る